このタイトル、なんか、J-POPの歌か小説のタイトルみたいですね。実際、小田和正さんの昔の歌に「ラブ・ストーリーは突然に」という名曲があります。このまんまのタイトルのネット小説はあるみたいですしね。
でも、今回の本題はサブタイトルにあります。
そう「依存と攻撃は予告してからでないと逆効果や悪循環を生む」というのが、今回の趣旨です。(甘えというのは、精神分析用語として特別の意味がありますので、今回タイトルのみに使用しました)
さらに言えば「依存と攻撃は、予告して了解を得てからしましょう!」という提案です。
前回の(2017年4月1日掲載)ブログに「あごうたオッケー!」のお勧めを書きました。
これは「ありがとう、ごめんなさい、うれしい、助かる、(頼み事や約束事は)オッケー!」の頭文字を取って、夫婦の円満の秘訣を伝えたものです。そしてはじめの2つは心を込めて言わないと逆効果だけれど、あとの3つはとりあえず言うだけでも効果抜群という話でした。
反響は色々とあったのですが、その中の何人かの方からあったのが、「理不尽なお願いをされても『オッケー!』って言わないといけないんですか?」「本当はありがたくないことも『ありがとう!』って感謝しないといけないんですか?」という質問でした。
これはもちろん違います。
「それはちょっと困ります」とか「それは、今は要りません」といういわゆるアサーション(柔らかな主張・自他尊重の自己表現)は、「あごうたオッケー!」と同じくらい、いやそれ以上に大切です。
ちなみに、最近の若い人たちがよく使う「大丈夫です」という断り言葉は、年配の僕にはその意味で使うことに抵抗があるし、「これ食べる?」という質問に「大丈夫です」と言われると、聞き返して確かめないといられないという意味で、居心地の悪い曖昧表現です。
さて、本題の依存と攻撃です。
親密な関係においては、突然の攻撃が良くないのは誰でも分かりますよね。反対に親密でないなら奇襲作戦や先制攻撃というのは、意味があるかもしれませんね。でも、親密でなくても、今後長いつきあいが続く相手には、避けるにこしたことはありませんが。
(余談ですが、大学教員も決して親密でなくても、下手をすると20年以上同僚関係が続きますので、奇襲や先制はいけません。僕は数年前に流行った「倍返し」ではなくて「やられたら半返し」をモットーにやってきて、人望とやりやすさを勝ち得ました)
親密な関係における依存と攻撃は、いきなりやると手痛い拒否やしっぺ返しを受けることがあります。それは瞬時の拒否や反撃というわかりやすいものから、その場はうまくいったように思えても、数日後に仕返しをもらうこともあります。
さらには、長期間にわたる支配や抵抗、心理的引きこもりという反撃にあうことさえあります。
そうすると、そのような反撃にあった方は、さらに仕返しに出るか大きな苦悩を味わうということになりがちです。これが悪循環の典型です。
カウンセリングでいろいろなご夫婦にお会いしていると、配偶者の浮気や身体的な訴え(心身症の場合も慢性疾患や時にはガンでさえ)も、もう片方の配偶者の依存や攻撃に対する反撃なのではないか、少なくともそのストレスで出ているのではないかとさえ思える場合が少なくありません。
もちろん、長期的な影響の最大のものが「子どもへの悪影響」であることは、このブログを読まれる方ならもうおわかりだと思います。
なので、ここで提案です。
「愛の告白は突然でもいいけれど、依存と攻撃は相手の了解を得てからやりましょう!」
具体的には「今、ちょっといい?」「あのーお願いがあるんだけど」と言って了解を取ってから甘える。
「ちょっと話があるんだけれど、今いいかな?」「大事なお話があります。時間をとれそうになったら言って下さい」などと予告して、相手にその覚悟ができてから攻撃する。
です。
もちろん攻撃は素直に正面から、建設的にというのが理想です。
依存に関する予告と了解取り付けは、医療やヒト対象の研究の用語を借りて「インフォームドコンセント(説明と同意による)甘え」と呼んでいます。
攻撃に関する予告と了解取り付けは、戦争用語を借りれば「宣戦布告つき正面攻撃」でしょうか。でも、正面攻撃というのは激しすぎるかもしれないので「予告つき限定攻撃」の方がいいかもしれません。
「もう1回やったら怒るからね」というのも、本当に実行されるならこの予告つき限定攻撃にあたります。
この際大切なのが、予告して断られたら、少し待つ。そしてその条件が整ったら必ず実行するということです。
予告したのに実行されなかったら「ナアナア」か「疎遠なまま」の関係になって、どちらかの都合のいい関係になります。
以上のようなことを心がけていただくことによって、幸せなカップル、家庭、親子が増えることが、私の祈りです。
(完)